保護者の関心と子どもの学力

全国学力・学習状況調査の分析から

 成績の良い生徒とそうでない生徒の間には、どのような差があるのでしょうか。もちろん本人の得意不得意、努力量の差が結果に大きく影響を及ぼすことは確かですが、家庭環境の違いも無視できない要因であると考えられます。今回はお茶の水女子大学が2013年の全国学力・学習状況調査を分析したもの(『平成25年度全国学力・学習状況調査の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究』)から、いくつか興味深い分析結果をご紹介したいと思います。(全国学力調査においては、『国語A』『国語B』と、『算数A』『算数B』(小6)、『数学A』『数学B』(中3)の試験科目があり、以下の図表では、回答項目別の各科目の正答率と人数割合を示しています)

保護者の文化的志向の影響

 以下の表は、子供と一緒に博物館や科学館、図書館に行く頻度を聞いているものです。
 




 中3にもなると、親子で一緒に出掛けるという回数自体が小6の頃より少なくなると思いますが、その点を考慮しても、新しい知識に触れる機会を数多く持つことが学力形成に重要であることがわかります。普段から社会的、科学的な話題に関して知的好奇心を持つことができるような語り掛け、環境作りが大切だと思います。

子供との対話の影響

 子供の学力形成にとって、保護者がどれだけ勉強に関心を持っているかというのは、とても重要な点です。下の表は、子供と勉強や進路、社会の出来事などについて話をするかどうかという質問に対する回答と学力調査の正答率の関係です。






 将来のことを考えることによって、目の前の勉強と自分の進路の関係が見えてくるようになり、その先に社会の出来事との関連も意識できるようになってきます。「どうして勉強しなければいけないのか」と思っている子供も多くいると思いますが、勉強することは自分の進路を決めることになり、ひいては社会の問題を解決することにつながっています。このことが理解できれば、勉強のモチベーションが今よりさらに上がるのではないでしょうか。